会長挨拶
この度、第33回日本新生児看護学会学術集会を2024年11月9日(土曜日)~10日(日曜日)の日程で、長野県松本市のアルピコプラザホテルとホテルブエナビスタにて開催させていただくことになりました。コロナ禍を経て、地方での開催は5年ぶりとなります。
学術集会のテーマは「Family Centered Careのこれから」としました。新生児医療・看護の領域においては、家族に寄り添いながら赤ちゃんと家族を中心にしたケアを考える「Family Centered Care」という言葉は日常語と言っても過言ではない程に浸透しています。では、なぜ今回、あえてFamily Centered Careなのでしょうか?医療技術の進歩や医療機器の開発等により、日本の新生児の救命率は世界最高水準に達しています。次のステップとして、新生児の将来の発達予後の改善を追求するためには、その伸びしろは、家族の力にかかっているのではないでしょうか。家族が面会時にケアに参加するだけでなく、自分達のこどもの立場から治療や看護を積極的に評価・提案し、退院後の育児やケアに自信を持って取り組める、そんな支援をより強く意識するのが、Family Centered Careの「これから」の部分ではないかと考えました。コロナ禍での家族の面会制限などを経験した中で、家族の役割の大きさ、重要性を我々は強く感じたことと思います。同様のテーマを掲げる中村友彦会長の第68回日本新生児成育医学会学術集会と協力して、様々な角度からFamily Centered Careを考える合同シンポジウムを企画しています。また、フィンランド トゥルク大学での先進的なFamily Centered Careの実際に触れて頂けるような企画も検討しています。
本学術集会の特別講演には信州大学医学部保健学科教授 中込さと子先生をお迎えします。学会企画として、「家族と協働する痛みのケアと医療者の教育」「搾乳の必要性と方法」「災害復旧シミュレーションのすゝめ」「COINN2024 参加報告会」、学術集会企画として「新生児期から始める成人移行期支援」「早産児のケアと発達支援」「家族の力を引き出すコミュニケーション」、新生児集中ケア認定看護師会企画として「実践報告会」と、一般口演のみならず、様々なシンポジウム、ワークショップ、ハンズオンセミナーなどを準備・企画しています。多職種で協働しながら、家族の力を活かした新生児医療・看護のために皆様と様々な視点から改めてFamily Centered Careを発展させる契機となる学術集会としたいと思います。
11月17日は世界早産児デーですが、大会期間中11月7日~9日の3日間、そのシンボルカラーである紫色に国宝松本城をライトアップする準備も松本市の協力を得て進めています。是非、ご参加の皆様におかれましては、日中は学術集会で学び、その後は紫色に染まった松本城まで御散策頂けたらと思います。紅葉に包まれて秋真っ盛りの信州にて、スタッフ一同、皆様のお越しをお持ちしております。
第33回日本新生児看護学会学術集会
大会長 深尾 有紀
(長野県立こども病院 新生児病棟 師長)