大会長あいさつ

第33回日本腎不全外科研究会学術集会を2024年7月13日(土)、14日(日)に長野県松本市 ホテルブエナビスタに於きまして、開催させていただく運びとなりました。いまだ新型コロナウイルス感染症(COVID19)は完全に終息していない状況ではありますが、COVID19が5類感染症に移行してから現地開催の学会・研究会が増えている状況です。
本学術集会におきましても、活発な議論をしていただくため、感染症対策を徹底した上で現地開催できるよう準備を進めてまいります。

本研究会は、外科、内科のみならず、あらゆる診療科の垣根を超えた横断的な診療が円滑に行われることを目的に、日本における腎不全治療の先駆者である故・太田和夫先生により設立されました。
腎臓と全身臓器の間には密接なクロストーク(crosstalk):臓器連関があり、腎臓機能が低下すると様々な臓器に悪影響をおよぼし、多様な合併症を引き起こすことが知られています。また、日本の慢性腎臓病患者や末期腎不全患者は高齢化が顕著になっており、加齢性変化、栄養不良、フレイル・サルコペニアの問題も加わることでさらに重篤な臓器合併症を複数併発し複雑な病態を呈した腎臓病患者が増加傾向にあります。腎不全患者の診療マネージメントにおいては、様々な診療科の先生方や多くのメディカルスタッフからご助言を頂き、適切な治療方針の策定と安全かつ効果的な治療の実践が大変重要となります。まさに故太田和夫先生が説いていた各科横断的・職種横断的な診療の重要性が高まりつつある状況と思われます。
このような背景を踏まえ、今回のテーマは「腎不全医療におけるクロストーク」と致しました。腎臓と全身臓器間のクロストークがあるように、各診療科間や各職種間においても密接なクロストークが必要と思われます。Crosstalkを辞書で引きますと、当意即妙の応答・やりとり、という意味の他、(電話・無線などの)混線・混信という意味もあります。各診療科・各職種で行っている診療内容の把握やその背景にある理論的根拠の相互理解が無く表面的な連携だけの場合、医療現場に混乱を生じ適切な医療を提供できなくなる可能性があります。本研究会におきましては、診療科間・職種間の当意即妙の応答・やりとりや相互理解が可能となるようなプログラムにしたいと考えております。
初夏の信州松本で皆様にお会いできることを楽しみにしています。
何卒、積極的な研究会への参加をお願い致します。

2023年11月吉日
第33 回日本腎不全外科研究会学術集会
大会長 信州大学医学部附属病院腎臓内科・血液浄化療法部 上條祐司